新しいiPhoneを注文したものの、旧端末は下取りに出す予定で手元に残らない。あるいは画面が割れていてクイックスタートの画面操作ができない。iPhoneの機種変更でこうした事情があるときに頼りになるのが、iCloudバックアップからのデータ移行です。旧端末のバックアップをiCloudに残しておけば、新しいiPhoneは初期設定の途中でそれを読み込むだけで、アプリの配置や設定まで元どおりになります。ただし無料枠5GBの壁、バックアップに含まれないデータ、復元が途中で止まるといったつまずきどころもあります。iCloud経由を選ぶべき場面の見極めから、旧端末・新端末それぞれでやること、復元が進まないときの確認点までを順に整理します。
iCloud経由が向いているのはどんな場面か
iPhone同士のデータ移行は、2台を並べて直接転送するクイックスタートが最短です。それでもiCloudバックアップからの復元を選んだほうがよい場面がはっきりあります。
- 旧端末が手元に残らない:下取り・買取に出す、家族に譲るなど、新端末が届く前に旧端末を手放す予定がある
- 旧端末の画面やタッチが壊れている:クイックスタートは旧端末側の操作が必要なため、操作できないと進められない
- 2台を同時に手元に置けない:離れて暮らす家族の機種変更を手伝う、旧端末を実家に置いてきた、など
- 保険として残したい:クイックスタートで移すつもりでも、直前にiCloudバックアップを取っておけば失敗時に復元できる
逆に、2台が手元にあり両方とも操作できるなら、クイックスタートのほうが待ち時間も通信量も少なく済みます。手順と所要時間はiPhoneデータ移行のクイックスタート手順で確認できます。クイックスタート・iCloud・パソコンの3方式を横並びで比べたい場合は、iPhoneのデータ移行方法3種類の違いも参考になります。
無料の5GBで足りないときの2つの選択肢
iCloudの無料ストレージは5GBです。写真や動画を本体に保存している人は数十GBに達することが珍しくなく、「iCloudの空き容量が不足しています」と表示されてバックアップが完了しないケースが最初の壁になります。対処は2つです。
| 方法 | 費用 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 一時的なiCloudストレージ(機種変更用) | 無料 | 移行のためだけに一時的に容量が欲しい人 | 保存期間は21日間(1回延長可)。期限内に新端末へ復元する必要がある |
| iCloud+ の有料プランに変更 | 月額課金(Apple公式の価格ページを参照) | 移行後もバックアップや写真の同期を続けたい人 | 移行だけが目的なら、復元完了後にプランを戻せる |
一時的なiCloudストレージは、旧端末の「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「新しいiPhoneの準備」から「開始」を選ぶと使えます。無料枠を超える分も含めてバックアップが作られ、Appleが機種変更のために用意している正規の仕組みです。iOS 15以降が条件なので、旧端末が古い場合は先にアップデートできるか確認してください。
ここがポイント
一時的なストレージで作ったバックアップは期限切れで消えます。新しいiPhoneの到着が3週間より先になりそうなら、届いてから旧端末でバックアップを取り直すか、iCloud+で容量を確保しておくほうが安全です。
旧iPhoneでやること:バックアップを取り直して中身を確認する
自動バックアップは「電源接続・Wi-Fi接続・画面ロック中」のときにしか動きません。数日前のバックアップしか残っていないと、その間に撮った写真や受け取ったメッセージが新端末に移りません。旧端末を手放す直前に、必ず手動で取り直します。
- Wi-Fiに接続し、充電ケーブルをつなぐ
- 「設定」→ 一番上のApple Account(自分の名前)→「iCloud」→「iCloudバックアップ」
- 「このiPhoneをバックアップ」がオンになっているか確認し、「今すぐバックアップを作成」をタップ
- 完了後、同じ画面の「最後に作成したバックアップ」の日時が今の時刻に更新されたことを確認する
容量の内訳は「iCloud」→「アカウントのストレージを管理」→「バックアップ」→ 端末名で確認できます。使わないアプリのバックアップをオフにしてサイズを削ることもできますが、「写真」を外すと本体保存の写真は移らないので、別に退避してからにします。
注意
バックアップの完了を確認する前に旧端末を初期化・買取に出すと、戻す手段がなくなります。「最後に作成したバックアップ」の日時を見てから手放す、を習慣にしてください。
新しいiPhoneでやること:iCloudバックアップから復元する流れ
復元はiPhoneの初期設定の途中でしか選べません。新品でも中古でも、電源を入れて「こんにちは」の画面から始まる状態で進めます。
- Wi-Fiに接続する(復元はモバイル通信ではなくWi-Fiで行うのが基本)
- 「アプリとデータを転送」の画面で「iCloudバックアップから」を選ぶ
- 旧端末と同じApple Accountでサインインし、復元したいバックアップを日時で選ぶ
- iOSのアップデートを求められたら従う。バックアップ元より古いiOSには復元できないため、ここでの更新は省略できない
- 設定の復元が終わるとホーム画面が使える状態になり、アプリや写真はWi-Fi接続中にバックグラウンドで順次ダウンロードされる
手順3でバックアップが一覧に出てこないときは、サインインしたApple Accountが旧端末と違うか、旧端末のバックアップが完了していないかのどちらかがほとんどです。復元が終わったあとのSIM差し替えやeSIMの移行は別作業になるので、順番は機種変更のデータ移行とSIMカード入れ替えの手順で確認してください。
iCloudバックアップに入らないもの:LINE・Suica・認証アプリ
「復元したのに元に戻っていない」という相談の多くは、そもそもバックアップの対象外だったデータです。復元後に慌てないよう、旧端末を手放す前に個別の引き継ぎを済ませておきます。
| データ | iCloudバックアップでの扱い | 事前にやること |
|---|---|---|
| LINEのトーク履歴 | 移らない(LINE独自のバックアップが必要) | LINEの設定からトークのバックアップを取り、電話番号・パスワードを確認 |
| SuicaなどWalletの交通系IC・クレジットカード | カード情報は移らない | 旧端末のWalletからSuicaを削除(残高はサーバーに保持)→ 新端末で再追加。クレジットカードは新端末で再登録 |
| 二段階認証アプリのコード | アプリにより異なる | 各アプリのエクスポートまたはアカウント同期を確認。確認できなければ各サービスで認証方法を先に変更 |
| 銀行・証券・ゲームのアプリ | アプリ本体は戻るが、ログイン状態や機種変更コードは引き継がれない場合が多い | 各アプリの「機種変更」メニューで引き継ぎ設定を済ませる |
SuicaはWalletから削除しても残高は消えず、同じApple Accountの新端末で「以前ご利用のカード」から追加し直せます。削除せずに旧端末を初期化すると再追加に手間がかかるため、順番だけは守ってください。連絡先・カレンダー・iCloud写真のように既にiCloudへ同期済みのものは、サインインすれば自動で戻ります。
復元が終わらない・進まないときに見る3点
「復元中」の表示が数時間動かない、アプリのアイコンが暗いまま、といった状態が続く場合、原因はほぼ次の3つに絞られます。
- Wi-Fiが切れている・遅い:アプリや写真のダウンロードはWi-Fi接続中にしか進みません。設定画面のWi-Fi表示を確認し、可能なら2.4GHzより速い5GHz帯に切り替えます。自宅の回線が遅い場合は、進捗が止まって見えるだけで動いていることもあります
- バッテリー残量が少ない:残量が少ないとバックグラウンドの処理が抑えられます。充電ケーブルをつないだまま放置するのが確実です
- Apple Accountの確認待ち:購入したアプリを再ダウンロードする際にパスワード入力や2ファクタ認証の承認待ちで止まっていることがあります。通知を開いて確認します
それでも進まないときは電源を入れ直してWi-Fiに再接続します。復元自体をやり直すには一度初期化して「こんにちは」の画面に戻す必要があり、その判断基準と消去前の確認点はiPhoneの初期設定をやり直す方法にまとめています。
検品現場から:中古iPhoneにiCloud復元するときのつまずき
fab mobileで販売している中古iPhoneは初期化済みで出荷しているため、電源を入れればそのまま「iCloudバックアップから」を選べます。それでもお問い合わせで繰り返し見かけるのが次の2つです。
- 旧端末より中古端末のiOSが古い:旧端末がiOS 27でバックアップを取っていれば、移行先もiOS 27以上が必要です。初期設定中にアップデートを促されたら、その場で済ませてから復元に進みます。更新を飛ばすと「このバックアップは復元できません」と表示されます
- 旧端末の容量より小さい中古端末を選んだ:128GBの端末のバックアップを64GBの端末に復元しようとすると、途中で空き容量不足になります。購入前に旧端末の「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」で使用量を確認し、それより大きい容量を選ぶのが確実です
フリマなどで入手した中古端末が前の持ち主の設定のまま届いた場合は、まず完全に消去してアクティベーションロックが外れているかを確認してから、同じ流れで復元します。
まとめ
- 旧端末が手元に残らない・操作できないときは、クイックスタートよりiCloudバックアップからの復元が向いている
- 無料5GBで足りなければ「一時的なiCloudストレージ」(無料・21日間)を使うか、iCloud+に一時的に切り替える
- 旧端末を手放す直前に手動バックアップを取り、「最後に作成したバックアップ」の日時を確認してから初期化する
- LINEのトーク・Suica・認証アプリ・銀行アプリはバックアップの対象外。個別の引き継ぎを先に済ませる
- 復元が進まないときはWi-Fi・充電・Apple Accountの承認待ちの3点を確認する
fab mobile
家族用・サブ機の中古iPhoneをお探しなら
初期化済み・バッテリー新品交換済みなので、届いてすぐに設定を始められます。この記事の手順はそのままお使いいただけます。